サカナ記念日

神秘熊野から魚便りをお届けします。

鈴木さん、スズキと熊野の深い関係とは

鈴木さんと魚のスズキは、共に熊野と深い関係があります。

 

①鈴木氏のルーツは熊野にある。

平家物語にスズキと熊野の深い縁を物語る記述がある。

 

①鈴木氏のルーツは熊野にある。

稲穂を重ねた棒のことを熊野ではススキ、スズキと呼んでいました。ここから鈴木という姓が生まれたと言われています。鈴木氏は熊野で神官をしていた家系だと言われています。古事記日本書紀の神話の中にも登場する大変長い歴史を有する氏族です。鈴木氏は熊野から全国に散らばり、熊野信仰を広めたとされています。

現在では、佐藤さんに次いで日本で二番目の数を誇る姓です。著名人ですと、首相を務めた故鈴木善幸氏やスズキ自動車会長の鈴木修氏がいますね。ちなみに鈴木善幸氏の父親は漁師であり、自身は水産学校を出て、水産庁の設置等の水産政策に深く関わった漁業に関係の深い人物です。歴史的人物としては、戦国時代に戦闘集団の棟梁として活躍した鈴木孫一雑賀孫一)などがいます。鈴木孫一織田信長とも戦ったといわれています。現在の熊野市有馬の海岸沿いに鈴木孫一のお墓があります。晩年は戦闘から離れ、この地で静かに暮らしたといわれています。寄せては返す波の音を毎日聞きながら余生を過ごしたのでしょう。下の写真は鈴木孫一のお墓です。

 

https://www.instagram.com/p/Bkoq4xQFfV2/

 

 

平家物語にスズキと熊野の深い縁を物語る記述がある。

平家かやうに繁昌せられけるも、熊野権現の御利生とぞ聞えし。其故は、古へ清盛公、いまだ安芸守たりし時、伊勢の海より、船にて熊野へ参られけるに、おおきなる鱸の、船に躍り入りたりけるを、先達申しけるは、「是は権現の御利生なり。いそぎまゐるべし」と申しければ、清盛の給ひけるは、「昔周の武王の船にこそ、白魚は躍入りたりけるなれ。是吉事なり」とて、さばかりの十戒をたもち、精進潔斎の道なれども、調味して、家子・侍共にくはせられけり。其故にや、吉事のみうちつずいて、太政大臣まできはめ給へり。子孫の官途も、竜の雲に昇るよりは、猶すみやか也。

平家物語の『鱸』という一章の中の文章です。鱸は魚のスズキのことです。かいつまんで現代語訳します。

平清盛一行は伊勢の海から船で熊野詣に向かいました。その際に、船の中に大きなスズキが飛び入ってきました。清盛はこれはめでたいと言って、調理して同行者にも食べさせました。それ故か、吉事が続いて、清盛は太政大臣の地位まで上り詰めました。子孫も竜が雲に昇るより早く出世しました。

平清盛一行は熊野詣の道中にスズキを食べた故に、その後の平家はこの世の栄華を極めることができた、という話です。スズキはなんともめでたい魚なのですね。下の写真はスズキです。スズキは大きく分けてマルスズキとヒラスズキの二種類います。このスズキはヒラスズキです。

https://www.instagram.com/p/BnDzjdMFcAn/

 

いかがでしたでしょうか。鈴木さんのルーツは熊野にある、魚のスズキは熊野に縁が深い、めでたい魚であるという話でした。全国の鈴木さん、おめでたいスズキにあやかりたい皆さま、是非熊野にお越しください!

 

Instagram