サカナ記念日

神秘熊野から魚便りをお届けします。

魚を食べると心が穏やかになる!

青魚などに多く含まれているDHAEPAを積極的に摂取すると頭が良くなる、という説はよく聞きますよね。実はそれだけではないようです。魚食には人の攻撃性を抑え、心を穏やかにする効果もあるようなのです。米ペンシルべニア大学教授で犯罪学を研究しているエイドリアン・レイン氏の著書『暴力の解剖学 神経犯罪学への招待』によりますと、オメガ3(DHAEPAを重要構成要素とする不飽和脂肪酸)には人間の攻撃性を減退させる効果があるとのことです。

 

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熊野の市場で揚がったばかりのマイワシです。DHAEPAが沢山含まれています。

では、なぜオメガ3には攻撃性を減退させる効果があるのでしょうか。本書で著者はこう述べています。

「オメガ3は、樹状突起の分岐やシナプスの機能を促進し、細胞のサイズを増大させ、細胞の死からニューロンを守り、さらには神経伝達物質の機能や遺伝子の発現を調整することで、脳の構造と機能を強化する。したがって、攻撃性をもたらす脳の機能不全を、部分的にせよ逆転させることができる」(高橋洋訳)

この説を裏付ける研究結果が世界中で出ているようです。例えば、イギリスのオックスフォード大学が行った研究によると、5か月に渡ってオメガ3と複合ビタミン剤を栄養補給したところ、若年成年受刑者の重大な違反を35%削減できたようです。他でもイタリアや日本の研究でもオメガ3の栄養補給によって攻撃性の減退が見られたとのことです。

 

ただ、注意しなければいけないのは、オメガ3を積極的に摂取すれさえすれば必ず攻撃性が低下するという単純な話ではないことです。攻撃性の増加や暴力の発生には様々な要因が潜んでいます。同じ栄養素だけ見ても、一つの栄養素だけではなく、様々な栄養素とのバランスが大切です。環境要因も大きいでしょう。

 

とはいっても、魚食には人の攻撃性を減退させ、心を穏やかにする効果があることはほぼ間違いなさそうです。最近、怒りやすいという自覚のある方は、積極的に魚を食べてみてはいかがでしょうか。もしくは、家族や恋人などに怒りやすい人がいる場合には、積極的に魚を食べさせてみるのもいいかもしれませんね。魚を食べると頭が良くなる、心が穏やかになる、まさに一石二鳥!!

 

参考文献:

エイドリアン・レイン『暴力の解剖学 神経犯罪学への招待』2015年 株式会社紀伊國屋書店

 

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