実は美味しい「未利用魚」を紹介!
日本近海で水揚げされる魚の漁獲量の約3分の1は未利用魚と言われています。未利用魚とはその名の通り、値が付かずに捨てられてしまう魚です。なんともモッタイナイ話ですよね。ではなぜ、未利用魚となってしまうのでしょうか。様々な原因が考えられますが、代表的なものを挙げてみます。
①毒がある。
②美味しくない。
③鮮度落ちが早い。
④調理に手間がかかる。
⑤美味しいことが知られていない。
①に関しては言わずもがなですが、②についても致し方ないと思います。やはり美味しくない魚が売れないのは、当然でしょう。③に関しては、保冷技術の発達などによって一部克服されつつありますが、やはり鮮度落ちが早いと、商品としては扱い難いでしょう。④についてもある程度は納得できます。骨が多い魚や、小魚などは調理に多大な手間がかかります。その手間を考えると、敬遠されてしまうのでしょう。ただ、骨の多いハモや小さいアジ(豆アジ)などが人気の魚として流通していることを考えると、調理に手間がかかる魚=絶対に売れないとまでは言い切れないと思います。⑤については本当にモッタイナイ話だと思います。本当はとても美味しいにも関わらず、知られていないという理由だけで流通しない魚が実は沢山有ります。私は毎日、熊野の魚市場で働いており、様々な未利用魚と出会う機会があります。そして、あらゆる未利用魚を試食してきました。実体験に即して、実は美味しい未利用魚を紹介します。
まずはカゴカマスです。
一部、流通している地域もありますが、全国的に流通している魚ではありません。私の暮らしている、魚の産地である熊野でも流通していません。実は、カゴカマスは超絶ウマい魚です。魚の中でも最上級レベルの食味です。私が試食した未利用魚の中ではナンバーワンです。脂、旨味、甘味、すべてを兼ね備えた美味しい魚です。刺身はもちろん、塩焼き、てんぷらなどにしても最高です。下の写真は刺身です。しっかり脂も乗っていますし、濃厚な旨味もたっぷりです。
次はオキヒイラギです。
こちらの魚も高知県などでは流通しているようですが、全国的に流通している魚とは言えません。数センチのとても小さい魚です。そのまま丸干しにしたり、唐揚げにするととても美味しいです。ビールや日本酒のつまみとして最適です。
最後はネンブツダイです。
この魚は典型的な未利用魚です。ほぼ流通しない魚です。そのまま唐揚げにしても美味しいですが、この魚はすり身にすると絶品です。つみれ汁、さつま揚げなどがオススメです。
いかがでしたでしょうか。値が付かずに捨てられてしまう未利用魚の中には、とても美味しい魚がいるという話でした。今回はカゴカマス、オキヒイラギ、ネンブツダイの三種類を紹介しました。これら以外にも実は美味しい未利用魚が沢山あります。また折を見て紹介したいと思います。知らない魚、売れない魚を食べることには抵抗があるかもしれません。どうせ美味しくないに決まっていると。必ずしもそうとは言えません!未利用魚の中にも美味しい魚は沢山いるのです。そのような魚の存在を消費者の皆様にも知って頂ければと思います。美味しい未利用魚が流通するようになれば、消費者、漁業者、魚屋、まさに「三方よし」です。限られた海洋資源の有効活用という観点からも有益です。未利用魚に光が当たることを願ってやみません。